北米ニューハンプシャー州での均整セミナー(3)

北米ニューハンプシャー州での均整セミナーレポート(3)2014

2011年から始まった米国ニューハンプシャー州での均整法普及活動はこの春に大きな飛躍を迎えました。CEU(Continuing Education Unit)への参加であります。均整法を普及するにはCEUに参加することが早道だと考えKINAメンバーが参加手続きを進めていました。CEUとは継続教育ユニットのことでプロフェッショナル ライセンスの免許更新、そして維持するために必要なものです。

※NDとはプライマリーヘルスケア家庭医でありながらより自然に病気を治すことを目的とし本当に投薬が必要な患者以外はなるべくハーブ療法、ビタミン、ハイドロセラピー(水療法)漢方、ホメオパシー、手技療法、カウンセリングなどを行い人間が本来持っている自然治癒力回復を根底に病気の予防回複、健康維持を目的とした医師です。日本では代替医療はまだまだ認識が広まっていない医療分野ですが、米国においてはNDライセンスの認められている州ではメディカルドクター(MD)と同等の格付けで今最も注目されている医療体系の一つです(ナチュロパシーの法制化がある17州においては)。
取り扱う疾患は慢性病、成人病、癌などの治療にも積極的に関与しています。

分かりやすく言うと米国法制化されている州においてNDの免許を維持するためには一定時間のCEUを受けなければなりませんが、その科目にKINA(Kinsei Institute of North America)メンバー(主にDrマシソンとDr Kelty)の努力により均整法(米国版に改良したものでKinsei Manual Therapy略してKMT)が認められたということです。このことは実はすごいことで、日本でいうと厚生労働省にあたる米国の省庁下の管轄にある公認の教育機関がKMTをナチュロパシー医師資格(ND)の更新科目にふさわしいものだと認めたということです。
またKINAが行うKMTセミナー自体がCEUと認められましたのでND更新科目としてなんと全米の51州で行った場合は全てKMTのセミナーがCEUの単位として認められるという偉業を成し遂げました。
CEUに関して詳しくお知りになりたい方は<a href=”http://www.nhnatural.com/home.html” target=”_blank”>New Hampshire Natural Health Clinic</a> のDr Bert Mathiesonにお聞きください。

今回はND免許のCEUを開くべく渡米いたしました。

4月16日(水)成田空港からデルタ便でデトロイトメトロポリタン空港まで約12時間その後デトロイトから約2時間のフライトでボストンローガン国際空港までの道のりでした。デトロイトでの乗り換えに1時間44分しかありませんでしたが何とか乗り換えることができました。
日本からの渡米メンバーは町田 修先生、私(筒井)そして私の勉強会メンバーで柔道整復師の生井辰季先生でした。今回、町田先生は一足先に渡米しておりボストンで合流しました。Drマシソンが車で迎えに来てくれていまして4人でニューハンプシャーへ向かい夕食をともにし、その日は床につきました。

4月17日(木)は一日オフで明日からの準備に当てました。

4月18日(金)いよいよKinsei Manual Therapy(以下KMT) Level 1のCEUセミナーの開始です。今回の参加者はDr Candice Scholl Dr Meredith Murray Dr Beth Devlin CST Ting Outhitの4名と日本から渡米した生井先生も特別参加を許されました。また、2日目からPTキティー アン リー先生も復習履修参加されました。
CEUではカリキュラムが厳正に決められておりそれに従いセミナーが進められていきます。
講師も登録された講師が行います。講師は町田修先生 Dr マシソン Drケルティー それに私(筒井)です。</p>

①均整法の歴史と哲学、②均整法における東洋医学理論、③施術原則、④栄養療法、⑤均整テクニックのデモンストレーション、⑥解剖学と筋膜の発生学、⑦筋膜力学、⑧基本的な触診技術と姿勢分析、⑨触診練習、⑩フォーム1(F1)、フォーム2(F2)の説明、⑪F1、F2の診断と施術練習が各講師によりレクチャーされて行きました。
PM3:00からPM8:00まで講習が行われましたが各講師、生徒共に真剣そのものでした。

この日の講習で特筆すべきことは日本で教えている均整法理論とは異なり独自の筋膜理論で体のゆがみを正し自然治癒へと導く理論展開で話が進められたことです。日本では運動系、すなわち骨格、筋肉、神経を整えることにより体のゆがみを整える、としていますがこの理論では均整法の特徴をうまく説明できません。すなわち骨格を整える手技療法はカイロプラクティックがあり、筋肉を整えるものはオステオパシー、神経を整えるものはスポンデロセラピーがあります。これらの寄せ集めとして認識される恐れがありましたのでKINAではKMTとして筋膜理論を作り上げました。そして、この理論がCEUとしてふさわしいと認められたわけであります。

KMTは12種類の体の歪みパターンを解放することにより気、水、酸素、栄養物が正常に還流し結果として神経伝達、リンパの流れを正常化して自然治癒へと導く療法であります。
他の手技療法との違いは、病名による施術は行わないということです。どこの調子が悪くとも体全体のものとしてとらえます。すなわち病気を追いかけずに体型を整えることに重きを置くということです。体型を整えると自然治癒力が働き病気の改善へと導かれるのです。
KMTでは立位で重心がかかっている部位(傾斜圧部位)が体型により決まっております。その部位がさまざまな要因により異常傾斜圧がかかるようになります。そうしますと前後、左右、回旋動作に制限が出始め体全体が歪む形となります。それを改善するためには異常傾斜圧部位の緊張をときほぐすことが必要になります。レベル1ではF1からF6の背部を使った異常傾斜圧部位の調整法を学びます。

体の歪みを正すには筋膜が重要な役割を担うわけですが筋膜層が正常な動きを維持するためには水分補給が重要な役割を果たします。すなわち筋膜層が正常な働きをするときリンパを通した老廃物の排出は強化されます。体重にもよりますが一日1500ccから2000ccが必要とされています。

これくらい水を飲まないと施術効果が薄れますよ、ということです。
また、ミネラルバランスも重要でアンバランスになりますと結合組織間の体液量が減少する恐れが出てきます。KMTは筋膜層間の体液を還流させることを目的としているため、ミネラル不足はKMTの効果を半減させることにもなりかねません。特に重要なのはマグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムで神経伝達と筋収縮、筋弛緩のバランスがカギとなります。
結合組織の治癒と回復にはビタミンCと亜鉛が必要です。前者はキウイフルーツ、ブロッコリー、カリフラワー、後者はカキ、黒大豆、そばなどで補給できます。
KMTを受けている多くの患者さんは栄養状態を評価するために血液検査を受けています。
最適な栄養素を施術前に取り入れることにより、よりよい施術効果が期待されるからです。

4月19日(土)二日目はAM9:00からPM5:00まで行われました。
①F3、F4の説明、②F3、F4の診断と施術練習、③F5、F6の説明、④F5、F6の診断と施術練習

この日は前日の復習を含めてF1からF6までの診断と施術練習が行われました。
F1は前重心で前屈しにくいタイプの人です。前屈すると腰が痛いなどの体の不調を訴える人にもF1の調整法を用います。
F2は後ろ重心で後屈しにくいタイプ人です。体を後ろに反らせると腰が痛いなどの不調を訴える人にもF2の調整法を用います。
F3は左重心の人で右に体を曲げると辛い症状が出る人にもF3の調整法を用います。
F4は右重心の人で左に体を曲げると辛い症状が出る人にもF4の調整法を用います。
F5は右回旋しやすい人で左にねじると辛い症状が出る人にもF5の調整法を用います。
F6は左回旋しやすい人で右にねじると辛い症状が出る人にもF6の調整法を用います。

F1を例にとりますと背部は脊柱から受者の親指1本分のライン(1側)に緊張があります。特にC4、T5、L1、S4の部位に傾斜圧がかかります。また、つま先、膝、ソケイ部、心窩部、大胸筋部、前頭部等にも傾斜圧がかかります。この部分はさまざまな条件で異常傾斜圧がかかるようになると(異常緊張を起こす。)と前屈しにくくなります。この状態の時に腰痛、頭痛、膝痛などの症状を起こした時、KMTでは患部ではなく異常傾斜圧部位の緊張をほどくようなことを行います。
そうしますと体全体の歪みが正され前屈しやすくなります。その結果血液、リンパの流れが正常となり自然治癒力が最大限に働き自然治癒へと導くのです。KMTではこのように病気を対象とするのではなく体全体の歪みを正すことにより病気改善へと導きます。従ってF1の患者さんの場合どんな症状があっても上記の異常傾斜圧部位の調整を最優先にします。レベル1では背部2側(受者の親指2本分のライン)に刺激を入れることにより1側並びにその他の異常傾斜圧部位の緊張を取り除く方法を学びます。F2からF6の体型も同様にKMTの原理原則によって背部に刺激を入れて異常傾斜圧を取り除くことをレクチャーしました。

4月20日(日)三日目はAM9:00からPM1:00まで行われました。
①質問、トラブルが生じた時の対処法、②迷った時の診断法、③F1からF6までの総復習

KMTでは観察、設計、調整、確認という順に従い施術を行います。また、角度、張力、間を使い異常傾斜圧部位の調整を行います。
F1からF6の体型選択を行うわけですが混合型も当然出てきますがその場合は腰椎部の異常傾斜圧部位で体型を選択する方法があります。
観察では立位静的姿勢から立位動的姿勢、指先から体幹の関節可動性検査を行いどこに異常傾斜圧があるのかを詳しくレクチャーしました。
KMTでは一つ一つの手技を正確に行うことも必要ですが一番重要なことはあくまでも法であり体全体を一つとしてとらえ全体の流れを診る目が重要であります。
KMTがNDに受け入れられた背景にはナチュロパシーの原理原則であるNO HARM(傷つけない)TREAT THE WHOLE  PERSON(体全体を施術する)にKMTが合致しているからであります。
今回世界初のKMTレベル1のCEUセミナーはみごと成功に終わりました。
セミナー終了後ND達の中から医療カンファレンスで(NDだけではなくメディカルドクターたちも集まる医療会議で、200人以上が集まる場。)KMTを紹介したらという意見が出されそれに向かって動き出すことになりました。</p>

インタビュー
今回のセミナーの特筆すべきところは日本初であり、それをすでに通り越し、米国公認均整マニュアル セラピー(以下KMT)と呼んでも過言ではないところまでついに来た! と自負している。 
この均整法インスティチュート オブ ノースアメリカが主催するセミナーは世界において、最も自然療法、予防医学・統合医療研究の中核的な役割を果たしている米国において、そしてその中でも中心的な存在であるナチュロパシック ドクターの免許更新科目(CEU)16単位に認められたコースになったということである。

なお、このセミナーのレポート作成中にニューハンプシャー州のバート マシソン NDからの連絡によれば、なんとKINAのベーシックコースが全米の鍼灸協会のCEUにも採用されたとニュースが入り込んできた。 彼によれば「KMTの安全性と効果が代替医療の中で既にある一部に人間達から注目を浴びてきているからだよ、、、」とのこと。
このレポートの筆者でもあり、KINAの会長をする私にとっても、まさか手技を行わない米国の鍼灸の協会がKINAのKMTをCEU採用するとはある意味驚きと喜びとが複雑に絡み合うしだいであり、そのことについては次のレポートをする機会があればお知らせしようと思う。 しかし最近は地元の某国立大学病院の重粒子がん治療の外国人患者のための医療通訳チームに抜擢されさらに忙しくなり、なかなか米国にも戻れなくなる今日この頃である。いずれにせよ生きているうちに少しでも多くの人の役に立てるという立場を得たということに感謝するということが大切であろう。

今回のセミナーは米国においてはイースターという日にぶつかり、下手をすればセミナー参加者なんか誰もいないと思っていた矢先の大成功のセミナーだったということである。
聞くところによれば、今回は計6人のセミナー参加者だったが、イースターとぶつからなければもう二人のナチュロパシック ドクターの参加申し込みがあったということを後に聞いており、それほどKMTの米国でのポテンシャルを感じとることができる非常に感動したセミナーでもあった。
もうひとつ付け加えるならば、はるばる日本からも将来を見据えた若干24歳の柔道整復師の若者がこのKINA主催セミナーに参加した。
これはとても喜ばしいことである。 これからの日本の将来を考えると積極的に海外のつわもの達と交流し、グローバルな施術者として良いものを後世に伝えるということはとても重要なことであろうと思う。
聞くところによれば彼は将来米国のナチュロパシック医科大学に留学し勉強してみたいというのだから気合の入れ方がちょっと違う。 

以下は今回のセミナーに参加してくれたドクター達のインタビューである。  

インタビュアー アン ケルティー ND

今回の週末に行われたKINSEI MANUAL THERAPY(以下 KMT)のナチュロパシック ドクターCEUセミナー(16単位)を受講しての感想をお聞かせください。

べス デブリン ND

現在はニューハンプシャーのドーバーで開業しておりますが、今回のセミナーはとてもすばらしい経験になりました。 
例えば実技での講習がとても多かたことで、さっそく今週の月曜日からの患者への応用ができそうなほどです。<br />
と同時に自分自身も実技を通じて施術されていたということが非常に有益でありましたね。
とにかく私たちにとってはとても興奮してしまうセミナーでしたよ、、、

メレディス ムーレー NDDr. Meredith Murray, ND

とてもすばらしいセミナーだったわ。  お互いを通じて実技を行い、自分自身でも同時にトリートメントが受けられること、そして変化がその場ですぐ確認できることかしら。
このセミナーはとても興奮しましたね、さっそく自分の患者にも応用して身みたいと思います。<br />
とにかくすばらしいトレーニングでした。

キャンディス ショル ND Candice Scholl ND

現在はニューハンプシャーのセーラムというところで開業しています。
専門はナチュロパシーにおける内分泌疾患が中心です。
とにかく感動の連続でした。
このセミナーを受けた感じでは、今週からでも患者に用いられるほどの手ごたえがありましたよ。
つまり自身がKMTを実技を通して良さを感じると同時に、その効果を実技の相手に感じてもらうことができたことですね。 とてもすばらしいセミナーだったですよ。
本当にありがとうございました。

生井辰季先生 柔道整復師

ナチュロパシー医学とKMTとがうまくマッチして非常によかったと思います。また、周りがナチュロパシックドクターということで最初は非常に緊張しましたがすごく刺激的で勉強になりました。特に施術前と後のデータをとって推し進めていくことは自分も学ばなければならないことだと思いました。
何故KMTはナチュロパシックドクターたちに受け入れられたと思いますか?
一か所集中して治療するのではなく、一つの病気に対して体全体の治癒力を上げてパワーを引き出し治癒へと導くところにNDも共感したのだと思います。
今後の展望を教えてください。
今回はじめて日本人として参加させていただいて、いいチャンスだと思いますので自分の発展とともにKMTも世界に広げられたらと思います。

Drマシソンによるナチュロパシー特別セミナー

MT(Kinsei Manual Therapy)のCEUセミナー終了後、町田修先生通訳の元、私(筒井)と生井先生のためにナチュロパシーの特別セミナーを開いてくれました。ナチュロパシーの歴史と哲学です。実際にナチュロパシック医科大学の講座で行われているような授業をそのまま受けることができました。
セミナーに先立ちDrマシソンから彼の経歴についての自己紹介がありました。
私はスケートボード(プロを含めた全米で3位の実力)、体操(カナダのナショナル選手に選ばれるほどの腕前)を行っていた関係で16歳で栄養学に興味をもつようになりました。スポーツ栄養学に興味がありましたので自然に栄養学にひかれて行きました。
ところが栄養学だけではいろいろなことができないことが分かってきました。つまり食べ物だけではすべてが解決できないということです。栄養学の免許をとり病院に勤めましたが患者さんに対して少しのことしかできませんでした。葛藤してもっと何か患者さんに対して、してあげることはできないかと考え始めました。急性のケアー、リハビリテーション、長期的な療法で調整してみました。
看護師さんが一人の患者さんに多くの薬を配り歩いているのを診てそれは私がやりたいことではないと感じていました。そしてHMO(保険会社の組合のようなもの)に移り患者教育の方を行いたいと考えました。1990年代に米国空軍で栄養士として指導にもあたりました。1980年代、90年代は次第にナチュロパシーの考えが復活し始めたころであります。
そのころ多くの患者さんとカウンセリングする機会があり、薬ばかりの担当医の治療が嫌でもっとほかの治療はないのかナチュロパシーの治療はできないのか、という相談も受けていましたがそういったことも当時は知りませんでしたのでこたえることはできませんでした。ナチュロパシックドクター(ND)の会合もありましたが当時は何を言っているか分かりませんでした。1998年ごろNDの存在をしり自然医学のことをよく知り、これはぜひ学びたいと思い安定していた栄養学の仕事を辞め、こちらの世界に飛び込みました。
ナチュロパシック医科大学は1910年には米国にありました。1930年から1940年ころまでは医師の30パーセントはNDでした。その時はヨーロッパから来た医師達が広めていました。彼らは医師ですがいろんなものを取り入れていこうという思想のもとに動いていました。均整法もいろいろなものを取り入れているというのもよくわかります。それゆえに共感できる部分が大きいです。
ナチュロパシーと共通部分が多いのでNDにとっては学びやすいです。いろいろなものを組み合わせて一つのものを作り上げているところも同じです。
1930年ころから薬を使う医学が主流になり始め、ナチュロパシック医科大学も認可されない状況になり次第に廃れていきました。1930年代から60年ころまではまったくナチュロパシック医科大学は認可されない状況でしたが、1960年代にオレゴン州からまた認可され始めました。その背景には薬だけでは治すことに対して抵抗がある患者さんたちが多く出始めてきたという事実があります。全米NO1ナチュロパシック医科大学といわれるバスティア大学も1970年代にできました。医師免許は州法により決められています。ハーバード大学医学部のあるマサチューセッッツ州ではND免許を認めようとしません。これには政治力が働いているようです。ワシントン州、コネチカット州などでは認められており私の出身校があるアリゾナ州も認めています。私や町田先生がいたサウスウエスト医科大学は3番目に古い学校です。今ではカナダでも新たに2州認めています。またカリフォルニア州でも認められ今後はどんどん認める州が増えていくことでしょう。現在では17州で認められています。
ニューハンプシャー州では法制化20年ですがここでは薬も出せ、メディカルドクターと何も変わりません。こういった州が今後増えていくことでしょう。
1990年代位からナチュロパシーが力をつけ始めCAM(代替医療の会)が樹立されました。この中にはオステオパシーは入っていません。なぜなら米国のオステオパシーは医師免許になっており薬を使い手技をほとんど教えないところが増えたからです。
ナチュロパシックドクターの授業期間は普通の医学部よりも1000時間も多く学ばなければなりません。ふつうの医学部にない授業を詰め込んできますのでどんどん勉強しないと追いつかなくなります。ふつうの医学部は基礎医学と薬剤、手術の勉強をしますがNDはそれ以外の科目も履修しなければなりません。
基礎医学、薬学、簡単な手術は普通の医学部とまったく同じことを行います。
NDになるためにはしっかりとした動機がないとなることができません。ふつうの医者は医師免許を取るとすぐに収入は確約されますがNDはそうとは限りません。Drマシソンも開業当初は苦労したようです。
ニューハンプシャーのナチュロパシー医の保険開始がはじまって間もなく、まだ2~3年なので、保険適応範囲も限られていて、ほとんどの人は現金で払います。保険開始にあたっても当時その制度を作るために相当苦労したということです。現実的なことをお話しするとメデイカルドクター(MD)は一日患者さん何人もこなすのに対してNDは一人に対して1時間から1時間半時間をとるので人数は診れません。また、どういった人がNDのクリニックを訪れるかですが西洋医学に限界を感じ3分の薬だけの治療や手術に疑問を抱き始めている人が来ます。
それではこれからナチュロパシーの原理原則についてお話します。
また、1時間半のナチュロパシー治療もこの原理に従って行っていきます。
この原理原則は均整法と何も変わりません。体に本来備わっている自然治癒力を高めることを行います。自然治癒力を高めるということはいくつか種類があり、そこにあるものを取り除くことと、そこにないものを入れてあげるということです。つまり過剰なものを取り除き、足らない要素を入れてあげることを行います。
西洋医学は自然の経路を止めて痛みを消すようなことを行います。
西洋医学の中でもいろいろなものを取り入れようとしている方もおられますが栄養学やその他のことは履修していないのでNDの行っていることと同様の事は期待はできないのです。 ちなみに米国においては一般の医科大学よりもNDの医科大学のほうが900時間以上の多くの代替医療などのテクニックや理論(東洋医学含む)などを学びます。
医者つけば何でも同じに知っているように思われがちですがそうではありません。
<p>自然治癒力を上げるツールはハーブ、ビタミン、針、ホメオパシー、手技療法いろいろありますがそういったことをナチュロパシーでは学びます。ビタミンでもハーブでも足りないものを入れるという考えもありますが、ナチュロパシーでは例を挙げると取り除くという考え方、即ちデトックスという考えもあります。

デトックスはヨーロッパが発祥の地で例えばサウナ、温泉療法が有名です。体の中には解毒経路というものがありますがたとえばサウナや温泉で汗をかいてデトックスを行い、そののち栄養素を入れて自然治癒力を高めることを行います。また胆汁を出させて毒素と結び付けて処理をさせる物質があります。肝臓の中にはそういった解毒の経路があります。ビタミンBなどは作用を持ちあげてくれます。アミノ酸の中のグリシンもそういった作用でメソレーション(メチル化)というものがあります。
つまり解毒の速度を上げてくれます。あとはグルタチオン、これはなくてはならないものです。認知症の人にはこれを使うと早い回復が期待できます。また、ライム病にも用います。これは中枢神経の炎症も止めることができるからです。フォギーという物忘れがひどい人にもこれは有効です。
後はキュレーション(毒素をつかむという意味で重金属の排出のこと)これもナチュロパシックドクターは使います。口から入れるものと、静脈注射、点滴するものとがあります。腎臓と肝臓の酵素を計ったうえで行わないとこれは危険です。また、それを行うときのコツはサウナに入って汗をかいたり、排出を助けるものを飲んだり運動したりすることが大切で、汗をかくことが重要です。脂溶性のものは汗から出ることが分かっています。また、キュレーションでは必要なミネラルまで排出してしまいますのでそれをサプリメントなどで補給することも必要になってきます。これは、ニューハンプシャーではナチュロパシー医と一般医師しかできません。
ナチュロパシーの法則①Helthing Power of Nature健康は自然治癒力向上、②First do no harmまず、はじめに傷つけない。ナチュロパシーを勉強していくと薬を取らなくても健康を回復させる方法がわかってきます。ナチュロパシーには治療原則がありたとえば腰痛の人が来た場合は痛み止めは出しません。カウンセリングで食べ物は抗炎症作用のあるものは食べているのか。水はちゃんと飲んでいるのか。筋肉が充分リラックスするにはミネラルが必要になってきます。それらはちゃんととっているのか。そういったところから話が始まります。
③Dr as a teacher NDは教育者であります。ただ単に薬を与えるのではなく、それを自分で治す方法を教えます。<br />
④Find the cause原因を求めます。なぜ今の症状が出ているかを根本的に追及します。また、今KMTを今回参加したND達が2~3日でなぜこんなに気に入ってしまったかは、病気の原因を患部ではなく全体としてとらえるからです。こういう理論にND達は惚れこんでしまいます。
⑤Treat the whole person体全体を治療する。
⑥Do mind and body 心と体を診ます。例えば不眠症の患者さんがいたとすれば普通の医者は薬を出します。NDは話を聞いて眠れない原因を探り出します。原因がわかったら日常生活を改善したりリラクゼーションテクニックを用いたり必要であればサプリメント(ティアニン、トリプトファン、タウリンなど)を与えます。
バイポーラーといういわゆる躁鬱病の人は話を聞いてあげるだけでよくなる人も多いです。ハーブなどを用いる場合もあります。
繊維筋症の人の痛みにはグリシン、タウリンが有効です。もちろんサプリメントは医師用のもので品質管理は薬同様にしっかりしています。一般の人は購入できないようになっています。<br />
ここでティアニンのサプリメントをいただき舌下吸収させました。なぜ、舌下で吸収させるのかは、細胞膜は脂肪でできており脂肪分を含んだサプリメントはそこから早く吸収されるからだそうです。大豆の成分も脂肪分が多いので舌下で吸収しやすいです。
グルタチオンは普通口から吸収されにくいが脂肪を含んだ液体状のものがあり細胞膜の性質を利用して吸収されるようになっています。実際に見せてくれました。静脈注射の製品も見せてくれました。<br />
また、グルタチオンはどんな人に使うのですかとの質問にライム病(日本でも問題になっているダニを介してかかる病気)が多いそうです。中枢神経のデトックスに使います。ライム病は酸化の速度が速いので抗酸化の強いものを使うと効果的です。グルタチオンを使う目的は2つあり一つは体全体の抗酸化でもう一つは体の中の毒素を肝臓でひっ付けて体から出す目的で使います。ただしイオウを処理できない人には効果が薄いまたは気持ち悪くなる恐れがありますので生化学テストが必要になります。
日本ではアンチェインジングでグルタチオンを使う医者が多くいますがどんな人でもグルタチオンが有効なわけではなくイオウを処理できない人は効果が薄かったり気持ちが悪くなる人がいることを知っておかなければなりません。何でもかんでもアンチェインジングにはこれが効くという考えはナチュロパシーの原理原則に反しています。<br />
アンチェインジングとナチュロパシーは実は対極をなしています。アンチェインジングはこれを行えばこうなるという手順だけを学び行っているがナチュロパシーはその人に合ったものを全体的にとらえて行います。ですからアンチェインジングの場合はうまくいくこともあればうまくいかない場合も出てきます。もとはCEUで始まりましたが予防医学の概念がないために今は苦労しているみたいです。ナチュロパシーの場合は全体的にとらえて行いますので失敗はほとんどありません。実はナチュロパシーを行っていればそれが一番いいアンチェインジングとなるのです。

ライム病のような酸化状態の人は運動をすると余計に酸化状態になるのでやらない方がいいのでしょうか?
酸化が悪いわけではなく酸化したらそれに拮抗する作用が体に働くことになっています。
また運動により一時的に酸化状態になった体は食べ物で簡単に解消できます。ハードな運動は免疫を下げ、軽い運動は免疫を上げる作用があります。ライム病の患者さんも慢性的に酸化していますが軽い運動をすることにより逆に免疫力が上がり酸化を抑える作用も働きます。

筋トレについてはどう思いますか?

筋トレは悪いことではないのですが、生理学的に考えるとどう代謝を起こさせるのかが大事なことになります。一つの運動だけを行わずに体全体を使った動きで行うことが代謝を上げそれが重要なことです。特に糖尿病の人は体全体を使って代謝を良くして筋肉の中のグルコースを使うようにしなければなりません。一つの筋肉だけ動かすような筋トレはあまりいいとは言えません。ホールボディーエクソサイズというものがあり体全体を使い代謝を良くすることが重要です。体全体を動かす運動はアナボリックホルモン(成長ホルモンやテストステロンなど)が出ることで血糖値をコントロールすることができます。ですから個々の筋肉を鍛えるような筋トレは糖尿病の人は行うべきではありません。
ランニングのような軽いトレーニングを45分行った時はアナボリックホルモンは3時間くらいしか出でいないが体全体を使うトレーニングを20分間行うと24時間アナボリックホルモンが出ていることが分かっています。つまりこれだけでもアンチェインジングになっています。

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